歌舞伎用語 語録

              
浅葱幕 Asagimaku
浅葱色の幕。幕を振り落とすことで瞬時に場面転換するとき等に使われる。
あづまからげ Adumakarage
着物を短く着ること。着物の着方の一つ。
荒事 Aragoto
初代市川團十郎が編み出した歌舞伎の演技様式の一つ。
あんかいもの Ankaimono
無礼者のこと。
家の芸 Ienogei
役者のそれぞれの家で伝えられてきた演技や演目。
いつつがしら Itsutsugashira
左右に五回首を振るしぐさ。
いろはおくり Irohaokuri
44文字をおりこんである義太夫の語り。よくよくきくとなかなかしゃれている。
花魁 Oiran

最高級の遊女。お客に色を売る女性のこと。衣装が豪華で江戸吉原の雰囲気を垣間見ることができる。

⇒「籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)」 花魁八ツ橋・花魁九重

扇 Ougi

姫扇、舞扇、など扇といっても様々。扇を様々なものにみたてる。

 扇で顔を隠す : 寝ていることを表す

 扇を三分開きで顔の脇にもっていく : 寝ていることを表す

大詰 Oodume

最終幕のこと。クライマックスのこと。

大向う Oomukou

劇場の立見席、その見物人。また舞台から一番遠い席のこと。上演中のここぞというキメの瞬間に掛け声をかけている人のこと。またその掛け声。一般の客でもできるが、掛けられる言葉は、代数か、屋号か、名前のみと一応決まりが。とは言ってもなかなか掛けられないのが現実。

 代 数 「二代目!」

 屋 号 「播磨屋!」  親子で出演のときは「小成駒屋!」や「染高麗!」など呼び分けることも。

 名 前 「吉右衛門!」

 その他 「待ってました!」

おき浄瑠璃 Okijyoururi
場面を説明するセリフや唄。
大臣 Otodo
文字通り大臣のこと。
お練り Oneri
祭礼の山車などの行進、寺院での練供養からヒントを得て、公演成功の祈願と宣伝を兼ねて行うパレードのこと。市川團十郎家の千葉成田山新勝寺でのお練が有名。有名役者を間近で見られるチャンス。
顔見世 Kaomise
興行名のこと。歌舞伎座では11月に「顔見世大歌舞伎」を、御園座では10月、南座では11月末から12月に行われる。歌舞伎座入口上部に櫓が掲げられるのはこの月の特徴。
掛合い Kakeai

常磐津、義太夫、長唄の三種類の音楽が競演すること。三方掛合いともいう。

⇒「紅葉狩(もみじがり)」で堪能できる。

かけすじ Kakesuji

役者が宙吊りするのに使用する演出装置のこと。
鞨鼓 Kako

楽器の一種。胸の前にくくりつける鼓のような太鼓で、撥で両側をたたく。雅楽で使う大鼓。

⇒「京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)」の花子が舞いのときに身に着ける道具。

霞幕 Kasumimaku
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蔓桶 Kazuraoke
お能でよく使われる道具の一つ。腰掛に使ったり、酒樽に見立てたりする。座り心地はいかがなものか・・。

歌舞伎十八番 Kabukijyuuhachiban

七代目市川團十郎が得意の演目や市川家に伝わる芸などを選定した18作品のこと。

1 ⇒「(しばらく)」
2 「七つ面」
3 「象引」
4 「蛇柳」
5 「鳴神」
6 「矢の根」
7 「助六」
8 「関羽」
9 「押戻」
10 「うわなり」
11 「鎌髭」
12 ⇒「外郎売(ういろううり)」
13 「不動」
14 「毛抜」
15 「不破」
16 「解脱」
17 ⇒「勧進帳(かんじんちょう)」
18 「景清」
裃後見 Kamishimokouken

通常、歌舞伎で役者の補助をするのは黒衣だが、舞踊のときは後見が勤める。

荒事の演目において役者を補助する人。衣装の着替えや直し、小道具の受け渡しなどを鬘や紋付袴をつけて勤める。

裃後見、裃片肌脱ぎの後見、裃をつけてない後見など様々・・。なぜ違うの?

上手 Kamite

客席から舞台を見たときの舞台右側。

⇔下手(しもて)

河竹黙阿弥 Kawatakemokuami

幕末から明治にかけて活躍した狂言作者、白浪物を得意とし、「白浪作者」とも呼ばれた。

代表作 ⇒「三人吉三(さんにんきちさ)」 ⇒「白浪五人男(しらなみごにんおとこ)」 「十六夜清心(いざよいせいしん)」

名台詞を音楽のようにうたう七五調になることが多い。黒御簾音楽を多用した音楽劇ともいえる。

勧進帳 Kanjintyou
寺社が仏像などの建立や修理の寄付を募る趣旨を記した書面。
柝 Ki

樫の木で作られた拍子木のこと。様々な打ち方があり、それぞれちゃんと意味がある。

♪チョンチョン♪ : 二丁 : もうすぐ幕が開きますよ!というお知らせ。

義太夫 Gidayuu
浄瑠璃の芸能の一種。竹本義太夫という人が工夫したので、竹本とも義太夫節とも呼ばれる。人形浄瑠璃がもとになっている演目には必ず義太夫がつく。
清元 Kiyomoto
三味線の流派の一つ。黒塗りのシンプルな見台と中棹の三味線を使っている。

隈取 kumadori

顔や手足に血管や筋肉などを誇張し描く歌舞伎独特の化粧法。紅は正義感にあふれた力強さを表し、青は邪悪な存在、茶は悪霊を表し、隈ごとに呼び名がある。荒事で非現実的、超人的な力の持ち主を表現することが多い。

筋隈(すじぐま) : 「暫(しばらく)」の鎌倉権五郎景政  正義のヒーローを表す。

黛赭隈(たいしゃぐま) : 「土蜘(つちぐも)」の土蜘蛛の精  不気味な妖怪を表す。

         

         

黒衣 Kuroko
黒の着物に黒頭巾をつけ、衣装の着替えや直し、小道具の受け渡しなどを行う人。
黒御簾音楽 Kuromisuongaku

舞台の下手(舞台に向かって左手)の黒い囲いにつくられている連子窓に御簾の内側で演奏する音楽。この黒御簾が下手にあるため下座(下座音楽)とも呼ばれる。

 

楽器 音の意味
大太鼓 バラバラバラ にわか雨を表す。
大太鼓 ドドンドンドン 嵐が吹きすさむ風景を表す。山おろし。
大太鼓 ドロドロ 不気味な力を持っている暗示。 
大太鼓 ガラガラ 雷鳴。 
傾城 Keisei
廓にいる遊女のこと。太夫と呼ばれる格式の高い遊女で、教養があって美しい気品のある女性のこと。城が傾いてしまうほどの魅力のある美女という意味も。
下座音楽 Gezaongaku
⇒黒御簾音楽(くろみすおんがく)
ケレン Keren
「早替わり」「宙乗り」などの派手な演出や、意表をつくトリックで見た目の奇抜さを狙った演出のこと。幽霊や狐などの表現にも使われる。
元禄見得 Genrokumie

見得のひとつ。この手法は初代市川団十郎が考案したもの。足を開き、両手を水平に大きくきめるところが特徴。

⇒見得(みえ)

後見 Kouken

通常、歌舞伎で役者の補助をするのは黒衣だが、舞踊のときは後見が勤める。

舞踊の演目において役者を補助する人。衣装の着替えや直し、小道具の受け渡しなどを素顔に紋付袴をつけて勤める。基本的に役者の弟子筋の人が勤めるらしい。

口上 Koujyou

舞台の上から役者が観客に挨拶すること。特別に一幕を設けて述べる形と、芝居の途中に一時中断して述べる形とある。役者が各々の家の色に染め抜いた裃姿で行う。

?落とし Kokeraotoshi
劇場が新築や改装をし新たに開場すること。またその上演のこと。

三番叟 Sanbasou

能の「翁(おきな)」という豊作と長寿を祈ったご祝儀曲を取り入れた舞踊。

「操り三番叟(あやつりさんばそう)」 「五斗三番叟(ごとさんばそう)」 「二人三番叟」

三姫 Sanhime

姫の役で特に難しいとされている三つの役をいう。

 「本朝廿四孝(ほんちょうじゅうにしこう)」の八重垣姫 

 「祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)」の雪姫

 「鎌倉三代記」の時姫

時代物 Jidaimono

江戸時代からみた時代劇で、日本史や伝説、伝承のさまざまな事件を題材にした演目を指す。

七三 Shichisan
花道の揚幕から七分、舞台から三分の場所。
じちょう Jichou
高貴な人の手伝いをする人のこと。
下手 Shimote

客席から舞台を見たときの舞台左側。

⇔上手(かみて)

白拍子 Shirabyoushi
踊り子を兼ねた遊女。
白浪物 Shiranamimono
盗賊を主人公にした作品を呼ぶ。白浪とは、中国から来た言葉で、もともとは白波賊と呼ばれた盗賊団のこと。
石橋物 Shakkyoumono
能の石橋をもとにして歌舞伎の舞踏に仕立てたもの。たてがみのような長い毛を豪快に振り回す演目。獅子物とも。

襲名 Shuumei

役者が代々の名や師匠などの芸名を継ぐこと。先人の芸風、地位、精神などすべての継承を意味する。役者にとっては重要な節目にあたる。

襲名が大々的に行われるようになったのは1951年、今の歌舞伎座が出来た時の六代目中村歌右衛門( 2001年3月31日死去84歳 )からではないかと言われている。

純歌舞伎 Jyunkabuki
歌舞伎のためにかきおろされたオリジナルの作品。
定式幕 Jyoushikimaku
縦じまの引き幕。通常、下手(舞台に向かって左)から、上手(舞台に向かって右)に引いて開ける。演出のために逆にすることもある。 国立劇場は「萌葱・柿・黒」。 歌舞伎座は「黒・柿・萌葱」。
浄瑠璃 Jyoururi
三味線を伴奏楽器とする語り物の総称。
新歌舞伎 Shinkabuki

明治以後につくられた新作歌舞伎のこと。緞帳を上げ下ろしする演目。演出者の名前がついているもの。

新歌舞伎十八番 Shinnkabukijyuuhachiban

七代目市川團十郎が自分自身の当たり芸から選んだものと、その遺志を継いだ九代目市川團十郎が初演した舞踊と劇の代表作。18演目ではなく、32演目が制定されている。

1 「蓮生物語(れんしょうものがたり)」
2 「地震加藤(じしんかとう)」
3 「酒井の太鼓(さかいのたいこ)」
4 「重盛諫言(しげもりかんげん)」
5 「高時(たかとき)」
6 「文覚勧進帳(もんがくかんじんちょう)」
7 「女楠(おんなくすのき)」
8 「鏡獅子(かがみじし)」
9 「大森彦七(おおもりひこしち)」
10 「高野物狂(こうやものぐるい)」
11 「時平七笑(しへいななわらい)」
12 ⇒「素襖落(すおうおとし)」
13 「向井将監(むかいしょうげん)」
14 「腰越状(こしごえじょう)」
15 「左小刀(ひだりこがたな)」
16 「山伏摂待(やまぶしせったい)」
17 「虎の巻(とらのまき)」
18 「真田張抜筒(さなだはりぬきづつ)」
19 「吉備大臣(きびだいじん)」
20 「荏柄問答(えがらもんどう)」
21 「伊勢三郎(いせのさぶろう)」
22 「仲国(なかくに)」
23 「新七つ面(しんななつめん)」
24 「二人袴(ににんばかま)」
25 「船弁慶(ふなべんけい)」
26 「釣狐(つりぎつね)」
27 「紅葉狩(もみじがり)」
28 「吹取妻(ふきとりづま)」
29 「仲光(なかみつ)」
30 「敷皮問答(しきかわもんどう)」
31 「静法楽舞(しずかほうらくまい)」 
32 「凧の為朝(たこのためとも)」
素襖 Suou
大紋を簡略化した形の男性用装束。 胸紐や菊綴に革紐が用いられているので、革緒の直垂ともいう。 直垂や大紋の袴の腰紐は白色、素襖は同じ布。
スッポン Suppon

花道の七三にある小型のセリ。非現実的な幽霊や妖怪などの役の登場や退場時に使用する。 

⇒七三(しちさん)

スーパー歌舞伎 

三代目市川猿之助が、1986年に「ヤマトタケル(やまとたける)」にて、オペラ等の演劇スタイルを取り入れ作り出した舞台。

作品 : 「新・三国志(しん さんごくし)」等

毎年4〜5月に東京の新橋演舞場にて公演を行っていた。

セリ Seri
舞台の一部が上下する仕掛けのこと。山門や御殿などを上下させる大セリと、役者を上下させる小セリがある。

世話物 Sewamono

江戸時代の町人の社会をモチーフにした作品。江戸時代における現代劇。郷土劇ともいえ、江戸の世話物、上方の世話物と大別することができる。

当時の市井の町人の活躍を描いたもの。実際に起こった心中や殺人事件を演目にしたものも。

竹の葉 Takenoha
お酒のこと。
中啓 Cyukei
扇の一種。
宙乗り Cyunori

役者の身体を吊り上げ舞台や客席の上を飛んでいるようにみせるケレン演出の一つ。

⇒ケレン(けれん)

ちからあし Chikaraashi
足を踏み出し力の強さをみせること。
ツケ Tsuke

舞台上手の端で、ツケ版という厚い板を二本の拍子木で打ってだす効果音。役者が見得をするときや、足音を強調するときなどに使う。

⇒上手(かみて) ⇒見得(みえ)

連ね Tsurane
役者が長いセリフを述べ立て、雄弁術を聞かせること。
鶴屋南北 Tsuruyananboku
四世鶴屋南北。
つれまい Tsuremai
二人で踊ること。
手拭い撒き Tenuguimaki

役者が舞台のから客席に向かって、役者の名前が印刷された手拭いを投げ入れる粋なファンサービスのこと。

⇒「京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)」の花笠踊りの後などに行われることが多い。

道成寺物 Doujyoujimono

道成寺伝説を素材とした古典芸能で、様々なバリエーションがある。

男への恋慕ゆえに逃げる相手を追ってついには蛇体となって、お寺の鐘楼の釣鐘の中に隠れた相手を情念の炎で焼き滅ぼしてしまうという、紀州(和歌山県)道成寺の安珍清姫伝説の後日譚。その鐘の供養の日に突如道成寺に現れた美女が舞を披露する。

⇒「京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)」

常磐津 Tokiwazu
朱色の蛸足のような譜面台を使う。
通し狂言 Tooshikyougen

何幕もの話で構成されている一つの演目を最初から最後まで通しで上演すること。

⇔見取り(みとり)

緞帳 Dontyou

緞帳を上げ下ろしする演目は演出者の名前がついているもので、新歌舞伎と呼ばれるものが多い。緞帳を使うか定式幕を使うかで作品のカテゴリーの検討をつけることもできる。

にらむ見得 Niramumie

市川団十郎家の口上。「吉例によって一つにらんでお目にかかります・・」で始まる。

⇒見得(みえ)

人形ぶり Ningyouburi

役者が文楽の人形をまねて、人形のような動きを見せる演出。一体の人形を三人で操る。操るのも歌舞伎役者が行い、黒衣とはちょっとちがった衣装を身にまとう。

緋毛氈 Himousenn
長唄とお囃子連中が座る雛壇に敷いたり、消し幕に使ったりする朱色の布。
ひもつき Himotsuki
着物の下から見え隠れする股引きみたいなもの。あ
百日鬘 Hyakunichikazura
アフロヘア。大百日(だいびゃくにち)、第百(だいびゃく)とも。
ふっ返り Bukkaeri
役者の衣装が一瞬にしてかわること。

ぶどう棚 Budoudana

天井に竹を格子状に組み荒縄でしめたもの
舞踊 Buyou

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幕間 Makuai

幕がひかれ次の芝居の幕が開かれるまでの間。観劇の休憩時間。
松羽目 Matsubame
能舞台の後の羽目板に松の大木を描いたもの。舞台正面奥に根附きの松を描き、左右の袖に竹を描いたもの。
松羽目物 Matsubamemono
能舞台を模した松羽目の装置で演じられる舞踊劇。能や狂言の演目を題材に作られてものが多い。
間夫 Mabu

情夫。花魁など遊女の情夫。たいていはお金に縁がないハンサムマン。

⇒「籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)」 繁山栄之丞

まるじるし Marujirushi
お金のこと。
見得 Mie

芝居が最高潮に達したとき、激しい動きの後などに、役者が静止して固定した像を形つくり、感情を全身で表現する。多くの種類がある。

にらむ見得  
元禄見得 「車引(くるまびき)」 松王丸・梅王丸
「勧進帳(かんじんちょう)」
「暫(しばらく)」
不動の見得  
絵面の見得  
絵面引張りの見得 「車引(くるまびき)」 藤原時平公
大見得 「車引(くるまびき)」 松王丸と梅王丸と桜丸の三人による見得
いしなげの見得 「車引(くるまびき)」 松王丸
見取り Midori

様々な話の名場面を並べて一日の興行をすること。

⇔通し狂言(とおしきょうげん)

黙阿弥 Mokuami
⇒河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)
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廊下鳶 Roukatonbi
廓の廊下をうろうろする無粋者。

六方 Roppou
退場するときの華やかな芸。手や足を大きく振り誇張した動作で豪快に歩くもの。
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